フィリップ・ラーキンの詩「出発の詩」に、こんな一節がある。
Poetry Of Departures
by Philip Larkin
Sometimes you hear,
fifth-hand,
As epitaph:
He chucked up everything
And just cleared off,
こういう話をときどき耳にされるだろう、
話がそのままその人の墓標銘になるような話をー
「あいつは、なにもかもを棄てて、
きれいさっぱり蒸発してうせた」と。
(櫻井正一郎:訳)
この詩を読んだとき、「リッチーの失踪(disappearance)はリッチーにとって"出発(departure)”だったのだ」と思いました。
失踪から約20年、公的には死亡となっているけど、いまだに生きているのか死んでいるのかわからない、見事な「完璧なる失踪」を遂げたリッチーは、本当に凄いの一言に尽きます。
今日はリッチーの誕生日。リッチーにとっての安息の地で穏やかに過ごせていることを祈るばかりです。
さて、このアルバムは、本国では2003年7月、日本では2005年7月に発売された、裏ベスト盤と称される、1枚目は歴代シングルのB面曲や未発表曲と、2枚目はカヴァー集の2枚組。
デビュー当時よくリッチーとニッキーが着ていたコートを思い出させる、レオパード柄のジャケもナイスです。
個人的にはマニックスのファンではなく、リッチーの書く詞のファンなので、実は2枚目のカヴァーのほうは全然聴いていませんが、次の4曲が聴けるとあって私にはとても貴重なアルバムです。
4.Judge Y'rself
1995年公開のアーノルド・シュワルツネッガー主演の米映画「ジャッジ・ドレッド」のために作られた曲。リッチーが詞を書いています。この曲は結局この映画に使われなかったので、このアルバムで聴くことができて本当に良かった。また、このPVはHoly Bible10周年記念盤のビデオ集に収録されています。映像からどことなくリッチーの人柄を垣間見ることができます。
15.Strip It Down(Live)
メジャーデビュー前のシングルに収録されていた曲で、これにPVが作られていたことにビックリ。みんな若いというよりあどけない!もはやお宝映像ですね。
初期のこういったパンキッシュな曲が好きです。
16.Bored Out Of My Mind
ビデオクリップ集に入っているPV。リッチーの心の中が書かれているこのような曲が特に惹かれます。この詞や、Life Becoming Landslideのような詞を聴くたびに、ここまで自分の内面をさらけだす詞を書ける人はなかなかいないだろうと思います。また、ここまで純粋で繊細な心を持つ人は、この世の中で生きることは本当に苦しかっただろうと、失踪の意味がわかる気がします。
20.We Her Majesty's Prisoners
以前にもブログで書きましたが、メジャーデビュー前のシングル"Motown Junk"の4曲目に入っていた、個人的にはメロディーがMotown~より好きだった曲。
リッチーはCrassのペニー・リンボーと思想が相通じるものがあるように思えますが、Crassの場合メンバーが皆同じ思いであったのに対し、Manicsの場合は他のメンバーとリッチーとの思想に温度差があったのではないか、というかリッチーの思想に他のメンバーはついていけてなかったかも?と勝手に推察してしまいます。
Disc One
B-sides and rarities.
- "Prologue to History" – 4:47
- "4 Ever Delayed" – 3:38
- "Sorrow 16" – 3:46
- "Judge Yr'self" – 3:03
- "Socialist Serenade" – 4:15
- "Donkeys" – 3:13
- "Comfort Comes" – 3:29
- "Mr Carbohydrate" – 4:16
- "Dead Trees and Traffic Islands" – 3:45
- "Horses Under Starlight" – 3:10
- "Sepia" – 3:56
- "Sculpture of Man" – 1:55
- "Spectators of Suicide" – 5:06
- "Democracy Coma" – 3:45
- "Strip It Down" (live) – 2:42
- "Bored Out of My Mind" – 2:57
- "Just a Kid" – 3:36
- "Close My Eyes" – 4:29
- "Valley Boy" – 5:10
- "We Her Majesty's Prisoners" – 5:22
Disc Two
Cover versions.
- "We Are All Bourgeois Now" (originally by McCarthy) – 4:35
- "Rock 'N' Roll Music" (originally by Chuck Berry) – 2:55
- "It's So Easy" (live) (originally by Guns N' Roses) – 2:54
- "Take The Skinheads Bowling" re-recorded version, – 2:30
- "Been a Son" (originally byNirvana) – 2:28
- "Out Of Time" (originally byThe Rolling Stones) – 3:34
- "Raindrops Keep Fallin' on My Head" (originally by B.J.Thomas) – 2:58
- "Bright Eyes" (live) (originally by Art Garfunkel) – 3:14
- "Train in Vain" (live) (originally by The Clash) – 3:16
- "Wrote for Luck" (originally byHappy Mondays) – 2:43
- "What's My Name" (live) (originally by The Clash) – 1:45
- "Velocity Girl" (originally by Primal Scream) – 1:41
- "Can't Take My Eyes Off You" (originally by Frankie Valli) – 3:13
- "Didn't My Lord Deliver Daniel" (traditional, famously recorded by Paul Robeson) – 2:07
- "Last Christmas" (live) (originally by Wham!) – 2:05
- "A Secret Society"– 2:53 (Japanese bonus track)
- "Firefight" – 3:43 (Japanese bonus track)
- "Picturesque" – 3:53 (Japanese bonus track)
- "Everything Must Go" – 3:09 (Japanese bonus track)